神社へ行こうー岸部露伴は動かにぃー
にゃー。今日は神社へお出かけした。インスタグラムでやりとりしてた子と駅で待ち合わせした。僕が先に着いていたのでその子を待つ側になった。隠れてるつもりだったけど、やりとりをしてる中で急に心配になって出て行ったところ見つかった。
白い髪、白い長袖、白い熊、白いチョコレート、リアルでは初めて会ったその子に自分でも意外な一言を僕は投げかけてしまった。
「あ、どうも、はじめまして…」
そういうわけで地下鉄からモグラの案内で地上へ出た僕ら。早速雨が降ってきた。
「傘は持ってないの?」
「うん。でも私濡れても平気アル。」
その子は傘を持たない女の子だった。天気予報で雨って出てたのに、めちゃめちゃ曇ってるのに、傘を持たない女の子だった。
僕は普通に傘を持っていたので二人で入ればいいじゃない、相合いすればいいじゃないというpuppyの声と、女の子と相合い傘するなんてお前いいのかよお前という戸惑いpuppyの声が喧嘩した。なので僕はリュックから折りたたみ傘を取り出し、女の子に渡した。
こうして二人とも傘を持ちながらいそいそ神社へと向かった。
「ここが神社の入り口かな?」
「え、これ神社の入り口?」
「どうだろう入り口じゃない?」
「入り口かあ。」
という感じで入り口?に入った僕たちパパラピーズ。階段が長くて女の子はひーひー言ってた。俺は全然ひーひー言わなかったけどな。階段を上りきりパパラピーズはでっかい社的なやつのあの通りの所に入っていった。
本来鳥居をくぐるなりして真っ直ぐあの通りに来るはずのところに僕たちは鳥居をくぐらずして辿り着いた。なんか横からあの通りに合流した。さすが入り口?から入っただけある。
「一礼二拍手だっけ?」という女の子に対して僕は「分かんない分かんないって言いながらいっぱい拍手していっぱいお辞儀するといいよ。」と教えてあげた。
「てかバナナあるじゃん。」
なんかお賽銭箱の上にバナナが一本置いてあった。
そういうやりとりの後に僕は10円、女の子は50円スパチャした。ここでヨーロッパの人はこう疑問に思うかもしれない。
「ドウシテオマエはオンナノコよりスクナイ?」
はぁ。ヨーロッパの人はちっともジャパニーズソウル大学が分かっちゃいない。
熊チョコちゃんは草を飼っている。一ヶ月前にアパートの近くで発見したその草は茎が4つに分かれており、各々の茎は1つの葉を持っている。
「ミスターポテトヘッド、ミスターポテトチップス、ミスターポテトサラダ、ミスターポテトポテト。臨死の時間だよ。」
彼女はそう語りかけると、花瓶から草を差し抜いた。水に浸かっていない間草は死んでいるし、水に浸かっている間草は生きている。だから臨死は水替えを指す。
彼女は花瓶の水を流しへ捨てる。オレンジ色のスポンジに水色の洗剤を数滴垂らす。泡を立て、花瓶の内側を擦る。花瓶の底を擦る。花瓶の底が抜ける。花瓶がロックバスターみたいになる。手から血が出る。
バンドエイドを貼り付けながら彼女は思う。最近こういうことが多い。この前も会社の椅子壊したし、この前はあれ壊れたし、その前はあれあれしたし。なんだか良くない気が回っている気がする。
そうだ、神社へ行こう。
というわけで神社へ来たのである。僕はその付き添いみたいなものだ。故に彼女よりお賽銭が40円少ないのだ。分かったかヨーロッパの人。
僕たちはちゃんとした階段を下りて、ちゃんとした鳥居をくぐり、ちゃんと神社を出た。しばらくふらふら歩く。いや、今日のメインイベント終了してしまったのだが。僕たちは困った。
「お昼ご飯食べてきた?」
「食べてない。」
「俺も。」
僕たちはお昼ご飯を食べることにした。ふらふら歩いて、駅ビルじゃないけど、なんかこのフロアは飲食店ですよみたいなやつの案内の看板を一緒に見た。候補は3つ挙がった。
- 眼鏡ストア
- 靴屋さん
- さわやか渡辺クリニック
悩んだ末、熊チョコちゃんが中華を食べたいと言ったので中華に決まった。
僕たちの昼飯は静かだった。餃子6つと餅3つだった。最後に残った餃子2つでロミジュリみたいなことをした。
「由美子ー!逃げろー!」
「マサルー!助けてー!」
「由美子ー!」
マサルから食われる。
僕たちは中華料理教室を出た。外に出るつもりが謎にエスカレーターで二階へ行ってしまって二人でニコニコした。その時僕は焼肉屋みたいな感じでガムをあげた。
僕たちはまたどうすればいいのか分からなくなった。時計を確認するとまだ会ってから1時間半しか経っていなくて、二人で戦慄した。
とりあえず歩いた。熊チョコちゃんが傘の柄を持ち、僕が傘の先を持って一緒に歩いたりした。熊チョコちゃんが突然走り出したり、僕が突然手を大きく振ったりした。
アハハ、ウフフ。
僕たちは疲れてその辺に座った。1時間くらい座ってたかもしれない。僕は熊チョコちゃんと友達とは思えない距離に座っていたらしく、途中で距離を詰められた。嫌かと聞かれたので、びっくりしたと答えた。僕は童貞なのでこういうのは仕方ない。そのあと用意していたプレゼントをあげた。ハンカチと箸置き。熊チョコちゃんはイェーイだっけ、わーいだっけ、この野郎だっけ、なんか言っていた。
僕たちは帰路についた。地下鉄のホームでお別れの挨拶をした。
「また遊ぼうね。」
「また遊ぼうね2。」
最後にお互いの頭をチョップして別れた。